障害年金

障害年金は、障害よる収入減を補うための制度です。 ここでは精神障害の障害年金について説明します。

近年の精神医療では外来による治療が中心となっているため、障害年金は地域生活をしながら社会参加するための
リハビリを行う障害者の経済的支えとなっています。

障害年金には、障害基礎年金(1~2級)と障害厚生年金(1~3級)があります。
初診時にどの種類の年金に加入していたかにより、受給できる年金が異なります。
また、障害厚生年金は障害基礎年金に上乗せして受給する事になります。
障害厚生年金の3級よりも軽度の障害が残っている場合は、障害手当金という制度もあります。

    受給するための要件は、
  1. 初診時に公的年金に加入していること。
  2. 加入すべき期間に保険料の納付があること。
  3. 障害認定する時点(精神障害の場合は初診日より1年6ヵ月後)で定められた障害状態にあること。
  4. の3つです。

しかし、障害基礎年金については、初診時の年齢が20歳未満のときは1と2が不要となり、
60歳以上65歳未満のときは2が不要となります。
それ以外の方は、受給要件の3つをすべて満たさなくてはなりません。
これは、どの障害であっても障害年金を申請するために必要な要件となります。

今現在は年金など必要のない方もいつ自分が障害者となるかわかりません。
障害を負った際に経済的な基盤がなくなることは、本人のみでなく家族や周囲の人にも負担となることがあります。
現在、公的年金に加入していない方、未納がある方はさかのぼって納めることもできますので、
できるだけ納付することをお勧めします。

次に申請方法ですが、障害年金は申請する制度の中でも非常に書類の数が多く面倒な制度です。順を追って説明します。

初診日の加入年金の種類を確認する
障害の原因となった疾病で初めて病院・診療所にかかったのがいつか、
その時に加入していた年金の種類を確認し、それにより申請窓口が変わります。
  • 初診日に厚生年金で現在も厚生年金…事業所管轄の社会保険事務所
  • 厚生年金で現在は他の年金か未加入…現住所管轄の社会保険事務所
  • 国民年金/20歳未満の初診で年金未加入…市区町村役場
  • 共済年金…各共済組合
申請窓口へ
初診日と加入年金がわかれば、各申請窓口に相談にいきます。
そのときには、年金手帳と印鑑を持参し、障害年金の申請を希望していること、
初診時期と現在の状態を伝えます。
ここで上記にあげた3つの要件の中の・と・が満たされているかを確認され、必要書類を渡されます。
初診日証明を取る
次に初診日の証明を取るために医療機関へ依頼します。
しかし、医療機関では5年以上たったカルテの処分は各医療機関に任されているため、
当時のカルテが残っておらず証明できないことがあります。
そのときは、初診日証明が出せない理由を記載してもらい、次にかかった医療機関に初診日証明の依頼をします。
そこも証明できなければ次へと証明ができる医療機関をたどっていきます。
他にも当時の主治医が退職しているため、証明できないことがあります。
そのときには、記載内容の証明として他の医師に依頼します。
診断書の作成
精神障害での申請は、初診日より1年6ヶ月以降の障害認定日の診断書と
現在の状態の診断書の2通が必要となります。
しかし、障害認定日を迎えてすぐに申請する場合は、1通のみで申請できます。
また、未成年で初診日があり、1年6ヶ月以降に20歳を迎える方は、20歳の時点の状態と現在の状態の診断書が
必要となります。
必要書類をそろえ、申請窓口へ
初診日証明書、診断書、申立書、住民票、戸籍謄本、通帳、印鑑、年金手帳などを申請窓口へ持参し、
受理してもらいます。
認定された翌月に支給される
受理後は認定がおりるまでは待つしかありません。ほとんどのケースが3ヶ月程度かかっています。
現況届けを提出
支給認定がおりたあとは、年1回送られてくる現況届けを提出します。現況届けは、年金を受給する意思確認と
現住所の確認を兼ねているため、提出を忘れると年金受給不要とみなされ、支給停止となることがありますので
気をつけましょう。
また、数年おきに診断書つきの現況届けが送られてきますので、医師に作成を依頼し提出します。

以上が、精神障害の障害年金についてとなります。

ちなみに知的障害の年金申請は、精神障害とは異なり疾患の関係性が少ないため、
これまで医療機関にかかったことがない方もいます。
そのため、障害が確定されたとき(愛の手帳取得時等)に申請することができます。
しかし、精神の障害年金同様、20歳になった時点の申請となります。
そして、申請には診断書が必要となることも同じであり、そのために医療機関への受診が必要となってきます。