当院での精神保健福祉相談で特に多い内容のひとつです。
就労支援とは、疾患や障害によって就労を継続することが困難となり休職や退職した方が、
復職・再就職できるよう支援することです。
支援としては個別面接を行い、ご本人の希望やこれまでの職歴、仕事をしているときの失敗経験や成功経験などを整理してします。
その後、ご本人に必要と考えられる社会資源や制度についての情報提供を行い、希望や支援の方向性を相談していきます。
休職期間や退職してからの長さ、ご本人の病状により支援の期間はさまざまです。
焦らずにご本人の状況に応じた支援を行うことが必要となり、援助者との信頼関係が重要となります。
就労支援に関して利用できる社会資源や制度は以下のようになります。
- 精神障害者地域作業所
- 横浜市内に50ヶ所以上あり、各種法律に規定されない障害者の通所施設です。
法内施設よりも独自の機能を持っているため、サービスも多岐にわたっており、
生活訓練や作業訓練を中心とした福祉的就労(※)、生きがいや仲間との交流、
一般就労に向けての就労準備など利用者の目的に応じた利用の仕方ができます。
現在、社会福祉法の改正により地域作業所から法定内である小規模授産施設へ移行することも増えてきています。
- ※福祉的就労→福祉分野における通所施設での就労。雇用関係になく、工賃は低いが労働内容も低労働で
支援者が配置された就労。
- 精神障害者授産施設
- 1987年の精神保健法改正により法定化された施設です。
雇用されることが困難となった障害者が自活できるように低額ですが賃金をもらいながら訓練することができます。
授産施設には、通所授産施設・入所授産施設・小規模授産施設(2000年の社会福祉事業法等の改正により法定化)の
三種類あります。
- 横浜市内には現在、通所授産施設と小規模授産施設があり、通所授産施設では利用期間を
1~2年間と期限を定め、期間内で就労に向け訓練していきます。
小規模授産施設では、これまで地域作業所では法外施設のため、各自治体が独自に補助金を決めており、
その金額は地域格差があるため地域ごとや職員の努力によって支援の差が出てきていましたが、
制度化されたことで経済的に基盤が安定し、より支援がしやすくなりました。
- 障害者就労支援センター
- 神奈川県・横浜市にそれぞれ設置されており、担当者制で就労に関しての相談ができ、作業評価等を行い、
ハローワークとも連携し就労に向けて支援していきます。
就労後も企業側の障害者雇用の担当者との連携や本人からの相談を受ける等アフターフォローも行っていきます。
- 神奈川県障害者就労相談センター ・045‐633‐6110 (代表)
- 横浜市精神障害者就労支援センター「ぱーとなー」 ・045‐475‐0142
- 公共職業安定所(ハローワーク)
- 就労支援センターと同じく担当者制で就職の斡旋や就職後のアフターフォローを行っています。
- 職場適応訓練事業
- 障害者の採用を希望する事業所が、県知事から委託を受け、障害者に適した作業行いと職場適応を目的とした制度です。
訓練終了後は、原則的に雇用を継続することとしています。
- しかし、現在この制度に登録をしている事業所から求人が出ることは少なく、
制度を利用することはほとんどなくなってきています。
- 精神障害者社会適応訓練事業
- 就労が困難な精神障害者が6ヶ月~3年を限度とし協力事業所に通い、働きながら集中力や対人能力、
仕事への持久力や環境変化への適応力を訓練し社会復帰ができるよう支援する制度です。
- この制度も上記の職場適応訓練事業と同じく受け入れを行う事業所が少なく、利用者への訓練手当て等がないため、
あまり利用されていません。